ケツァルコアトルスってどんな生き物?
いつの時代にいたの?どこに住んでいたの?
ケツァルコアトルスは、約6800万年前の白亜紀(はくあき)後期に生きていた生き物です。この時代は、ティラノサウルスやトリケラトプスなど、人気のある恐竜たちがいた最後の時代です。
ケツァルコアトルスが見つかったのは、現在のアメリカ・テキサス州。その地域では、広い川や湖、草原が広がっていたと考えられています。そんな場所で、空を自由に飛びながら、地上を歩いてエサを探していたんですね。
恐竜ではなく「翼竜」って知ってた?
ケツァルコアトルスはよく「巨大な恐竜」と思われがちですが、実は恐竜ではなく**「翼竜(よくりゅう)」**と呼ばれるグループに入ります。
恐竜はふつう地面を歩いて生活していましたが、翼竜は飛ぶことができた空の生き物。翼の形はコウモリにちょっと似ていて、前足と指の間に大きな膜(まく)が広がっていたんです。
ちなみに、有名なプテラノドンも翼竜の仲間ですよ!
名前の由来はアステカの神さま!
「ケツァルコアトルス」という少しむずかしい名前は、メキシコの古代文明「アステカ」の神さま「ケツァルコアトル」にちなんでいます。
ケツァルコアトルとは、「ケツァル(という鳥)+コアトル(へび)」という意味で、「羽のあるヘビの神さま」として知られていました。空を飛びながら地上をも歩くケツァルコアトルスの姿が、この神さまに似ていると思われたんですね。
なんだかロマンを感じますよね!
ケツァルコアトルスの大きさはどれくらい?

高さはキリンと同じ?約5メートル!
ケツァルコアトルスは、地面に立ったときの高さがなんと約5メートルもありました。これは、動物園で人気のキリンと同じくらいの高さです。
見た目は鳥のようでもあり、恐竜のようでもあり、とっても不思議。首が長く、クチバシも細長くて、地面の小さな動物を探していたと考えられています。こんなに大きな生き物が空を飛べたなんて、本当に驚きですね。
翼を広げると10メートル以上!バスより大きい?
ケツァルコアトルスのいちばんの特徴は、大きな翼です。両方の翼を広げると、約10〜11メートルもありました。
これはなんと、スクールバス1台分くらいの長さ!(日本の中型バスなら全長約9メートル)
鳥でいえば、最大級のアルバトロス(ハシボソアホウドリ)でも翼を広げて3メートルほどなので、ケツァルコアトルスのスケールはケタ違いです。
空を飛んでいる姿はまるで空の飛行船のようだったかもしれません。
体重はたったの70kg?意外と軽い理由とは
ケツァルコアトルスは見た目がとても大きいのに、体重は70kgほどだったという説があります。これは大人の人間1人分くらい。とても軽くてびっくりですよね。
その秘密は、体の中が空洞になっていたことです。今の鳥と同じように、**骨の中が空っぽ(中空骨)**になっていて、重さをできるだけ軽くしていたのです。これが、大きな体でも空を飛べた理由のひとつとされています。
ただし、最近の研究では「実は200kg以上あったのでは?」という説も出てきています。科学の世界では、新しい発見があるたびに考え方が変わることがあるので、とてもおもしろいですね!
どちらにしても、ケツァルコアトルスは「見た目は大きく、でも飛べるくらいには軽い」という、とっても不思議な生き物です。
どうしてそんなに大きくても飛べたの?

「こんなに大きな体で、本当に飛べたの?」と思うかもしれません。でも、ケツァルコアトルスには空を飛ぶための工夫がたくさんつまっていました。
体が軽くできている秘密
ケツァルコアトルスの体はとても大きいのに、重さは人間と同じか少し重いくらい。その理由は、体の中が軽くつくられていたからです。
たとえば、
- 骨の中が空洞(からっぽ)で、まるでストローのような形
- 筋肉は必要なところにだけついていてムダがない
- 大きな翼は骨と皮膚のうすい膜(まく)でできていて、軽くて丈夫
今の鳥やコウモリも同じように、体を軽くすることで飛べるようになっているんですね。ケツァルコアトルスは、その「空を飛ぶためのデザイン」の達人(たつじん)だったといえるでしょう。
人間のハングライダーとどう違う?
ケツァルコアトルスの飛び方をイメージするときにわかりやすいのが、人間が乗るハングライダーやパラグライダーです。
ハングライダーの翼の長さも、7〜10メートルほど。重さは20〜30kgくらいあります。そこに体重70kgくらいの人が乗ると、合計100kgくらい。これって、ケツァルコアトルスのサイズや体重にとても近いんです。
でも大きな違いは、
- ハングライダーは風を使わないと飛べない
- ケツァルコアトルスは自分の力で羽ばたいて飛び立てた!
地面を助走してからジャンプし、強い筋肉で羽ばたくことで、空へと飛び上がっていったと考えられています。
まるで大空に飛び立つグライダーのような生き物だったんですね。
どんなふうに飛んでいたの?飛ぶ速さと飛行スタイル
ケツァルコアトルスの飛び方は、ずっと羽ばたいていたのではなく、空気の流れ(上昇気流)をうまく使ってグライダーのように滑空(かっくう)していたと考えられています。
ときどき羽ばたいて高さや方向を調整しながら、広い空をゆっくりと進んでいったのでしょう。
気になるスピードは、
- 飛ぶ速さは時速80km以上(自動車と同じくらい)
- 長い距離を少ないエネルギーで飛ぶことができた
地上では走るのも速く、時速30kmほどで走れたという説もあります。
まさに空も地上も自由に移動できる「空の王者」だったのです!
以下に「地上でも活躍?ケツァルコアトルスの歩き方」の本文を執筆しました。親子で楽しめるように、動きの想像がふくらむような言葉選びを意識しつつ、最新の研究に基づいた内容をわかりやすくまとめています。
地上でも活躍?ケツァルコアトルスの歩き方
ケツァルコアトルスといえば「空を飛ぶ姿」が有名ですが、実は地上でもすばやく動ける生き物でした。大きな翼をたたんで、地面を歩く姿もとてもユニークなんです。
地面を4本足で歩いていた?
ケツァルコアトルスは、空を飛ぶときはもちろん翼を使いますが、地面を歩くときは、なんと4本足で歩いていたと考えられています。
「えっ?翼は手じゃないの?」と思うかもしれませんね。実は、翼は前足の指がのびてできたもの。つまり、
- 前足=翼(手のように地面につけられる)
- 後ろ足=しっかりした足で体を支える
という仕組みになっていて、前足と後ろ足を交互に使って、のしのしと歩いていたのです。
最近では、翼竜の足あと化石も見つかっていて、「まるでキリンや馬のような姿勢で歩いていた」とも言われています。
走るのも速かった?時速30kmとも言われる地上移動
大きな体なのに、ケツァルコアトルスはけっこう速く走ることもできたと考えられています。そのスピードは、なんと時速30キロメートル!
これは、スポーツをしている人の全力ダッシュや、自転車の速さと同じくらい。
つまり、小さな動物を地面で追いかけて、パッと捕まえることができたというわけです。
空を飛ぶだけじゃなくて、地上でもすばやく動ける。まさに「空と陸のハンター」だったんですね!
ケツァルコアトルスの食べ物は?
「空を飛ぶなら、きっと魚をつかまえて食べてたんでしょ?」と思うかもしれませんが、実はちょっとちがいます。ケツァルコアトルスは、地上でエサを探していたタイプのハンターだったのです!
空から魚をつかんだ?それは昔のイメージ!
ケツァルコアトルスが発見された当初、研究者たちは「空から水辺に急降下して、魚をつかまえていたのでは?」と考えていました。
というのも、他の翼竜(プテラノドンなど)には魚を食べていた種類が多かったからです。長いくちばしを見た人たちも「ペリカンみたいに魚をキャッチしたのかな?」と想像していたのでしょう。
でも、最近の研究では、
- ケツァルコアトルスは水辺よりも内陸で暮らしていた
- クチバシに「魚とり」に特化した形の特徴がない
- 体が大きすぎて、水の中では狩りがしにくかった
といったことがわかってきました。
つまり、「空中から水に飛びこんで魚をとっていた」というのは、昔のイメージにすぎないようです。
実は地上で小動物を捕まえていたハンター
今では、ケツァルコアトルスは地上を歩きまわって、トカゲや小型の恐竜、哺乳類などを見つけて捕まえていたと考えられています。
- 長い首でサッと頭をのばし、
- 細長いクチバシでパクッ!
- 飲みこむようにしてエサを食べていた
そんな姿は、まるで現代のコウノトリやサギのよう。
空から飛びかかるのではなく、地面をてくてく歩いてハンティングしていたんですね。
おおきな翼をもつ生き物が、空よりも地面でエサをとっていたなんて、とっても意外でおもしろいですよね!
まとめ|ケツァルコアトルスは子どもにも人気の“空の王者”
ケツァルコアトルスは、見れば見るほどおどろきと発見がある、不思議でかっこいい生き物です。最後に、この記事でわかったポイントをふり返ってみましょう。
驚きの大きさと軽さの秘密
- 高さは約5メートル、翼を広げると10メートル以上という巨大なサイズ!
- なのに、体重は70kg〜200kgと意外に軽いという研究結果もあります。
- そのヒミツは、骨の中が空洞で、ムダのない軽いつくりだったから。
「こんなに大きいのに飛べたなんて…」と、大人でも感動してしまうほどの体のしくみです。
想像がふくらむ!空を飛んでいた巨人
- 飛ぶ速さは時速80km以上、地上でも時速30kmで走れたとも言われています。
- 空から魚をねらう…のではなく、地上で小動物を狙うハンターだった!
- グライダーのように空をすべりながら、広い世界を旅していたのかもしれません。
ケツァルコアトルスが大空を舞う姿を想像すると、まるで空想の生き物のよう。でも、それが実際にいたというのが、恐竜や翼竜のすごいところですね。
ケツァルコアトルスは、子どもにも大人にも夢とロマンを届けてくれる“空の王者”です。
これをきっかけに、恐竜や古生物の世界をもっと好きになってもらえたらうれしいです!